オーバーホールとは自動車の車検のようなものです。自転車、特にスポーツバイクの場合は定期的なメンテナンスが欠かせない乗り物です。
オーバーホールは大まかに以下の手順で行います。
・お持ち込み車体のお見積り
・車体及び装着パーツの分解と洗浄
・パーツ一つ一つの状態確認と再利用の可否確認
・分解パーツの組み立て、取り付け
・組み立て時や取り付けに合わせた適切な潤滑剤やグリス塗布
・変速やブレーキ、ホイールなどの調整と動作確認(実走含む)
車体を分解し、普段状態の確認を行えない内部まで洗浄とチェックを行い、そのまま組み直しても安全にお乗りいただけるか、各パーツの状態を1つ1つ確認しております。
確認作業時に問題なければ、元通りに直す工程で注油やグリスアップ、調整、必要に応じて消耗品交換を同時に行うメニューです。
1つの目安として、何年も乗らずにいた自転車を乗り出す際や、購入してから2年以上分解整備をしたことのない車体は、経過年数に関わらず、安全と長い時間お使いいただくために車検としてオススメしております。
1年に1度の目安としては年間の走行距離が多い方(5,000km以上)、通勤通学や泊りがけのツーリングなどで雨天関係なく走行される方。
1台1台状態が異なるので、目安よりも早く行うべき車体もあれば、目安を過ぎていてもオーバーホールの必要がない車体もございます。車体をお持ちいただければ、無料で必要性の有無を確認させていただきます。
経験談になってしまいますが、定期的にオーバーホールをしている自転車は寿命が延びる傾向にありますので、高い価格のスポーツバイクを長期に渡って安全、快適にお乗りいただくためにこのメニューを設けております。
オーバーホール基本工賃は、自動車の車検基本料とお考えいただくとわかりやすいと思います。
オーバーホールにかかる料金は車種によって変わり、クロスバイク¥17,600、ロードバイク¥20,000です。※TTバイク、マウンテンバイクはご相談ください。
こちらに加えて、交換個所の部品代や工賃などが必要となってきます。
他店購入やトレック以外のメーカーの作業も歓迎です!!遠慮なく、お気軽にお持ち込み、お問い合わせください。
※スポーツバイク専用メニューです。
実際の作業はテックブログにて公開しておりますので、こちらをご覧ください!
では、順を追ってオーバーホールの流れや料金、納期を見ていきましょう!!
①ご来店と事前見積もり作成
オーバーホールを受けていただく車体ご持参でご来店をお願いいたします!
まずは車体の全体を点検させていただき、現在の状況を把握していきます。消耗品の消耗具合はもちろんチェックいたしますが、オーナー様の使用方法や環境、走行距離を元に、搭載されているパーツによって交換をオススメする範囲が大きく変わってきます。
一通りのヒアリングを終えましたら、実際のオーバーホール実施の見積もり作業を行います。

作成後、項目一つ一つについて交換や作業が必要な理由をご説明いたします。作業内容にも優先順位が出てくることが多く、優先度高、中、低といった形でご提案いたしますので、ご相談しながら作業内容を決めさせていただきます。
※お見積もりは車体分解しない状態での金額算出となります。分解作業中にフレーム内の部品劣化や破損が見つかり、パーツ交換が必要になる場合がございますので予めご了承ください。その際は別途お見積もりを作成し、ご連絡いたします。
番外編:実際の見積もりとオススメ作業
基本工賃に加えて、パーツなどの金額を足した合計金額が気になる方も多いと思いますので、お見積もりの一例を作成いたしました!
ロードバイクのお見積もりをご紹介!最も簡素な場合がこちらです。
| 商品、作業名 | 価格 | 数量 | 合計 |
| ロードバイクオーバーホール | ¥20,000 | 1 | ¥20,000 |
| 油圧式ブレーキオイル交換(片側) | ¥4,400 | 2 | ¥8,800 |
| シフトワイヤー全交換 | ¥4,400 | 1 | ¥4,400 |
| Bar Tape Trek Double Gel Black | ¥3,500 | 1 | ¥3,500 |
| バーテープ交換 | ¥2,200 | 1 | ¥2,200 |
| 合計¥38,900 |
ディスクブレーキのオイル交換とシフトワイヤー、バーテープ交換はオーバーホールと同時作業がオススメ!
理由としてシフトワイヤーの場合、最近の内装フレームですと各部の分解などが必要で、お預かりでの作業になる上バーテープの交換も必要となってくるため、お時間ががかかります。
ブレーキオイルはメーカー推奨の交換時期が1年であることも理由の一つです。交換自体はすぐ終わるのですが、ブレーキレバー、キャリパーとホースのジョイントから漏れがないかを経過観察いたします。

この時ブレーキレバーとホースのジョイントはバーテープで隠れており、肉眼での視認ができないのです。ワイヤー交換とバーテープ交換を併せて行っていただくと、バーテープを剥いでしまえるので、肉眼で確認が可能になり非常に助かります。
経過観察が問題なければ動作確認を作業台だけでなく、実走での動作確認もいたしますので更に時間がかかります。
機械式のワイヤーでブレーキが動作するブレーキも、リム、ディスク関係なく同じタイミングで交換がよいでしょう。ブレーキワイヤーが切れた事例は経験上少ないですが、シフトに比べて効かなくなってしまった時のリスクが大きすぎるので、トラブルが出る前の交換を推奨しています。
どちらもお預かりや分解作業となってしまうため、元々お預かりの上分解してしまうオーバーホール時にオススメしております。
②作業手順
①車体の分解、アクセサリー装着位置の記録
まずはセンサーやサイクルコンピューター、ライト類、ボトルケージなどのアクセサリー配置を記録し、組み立て時に元に戻して返却いたします。
分解時はホイールを前後とも外すところからスタート。この時、ハンドル、ステム、サドル、シートポストは取り外さずそのままにしておきます。ドライブトレインやアクセサリー類をすべて車体から取り外し、ディスクブレーキの場合はホイールからディスクローターも外します。
可能な車体はフレームからフォークを引き抜きます。内装式で油圧式ディスクブレーキの車体など、フォークが外せない車体はヘッド作業時にヘッド周りを分解し、クリーニングとグリスアップ、ヘッド調整まで作業します。
車体からパーツを外し終えたらクランクやディレイラーなどを分解し、ディグリーザーで洗浄するパーツ類と攻撃性の低いケミカルを使用して洗浄するパーツ類に仕分けを行います。
②洗浄、乾燥
フレームとホイール、ハンドルやステム、サドルにシートポストは洗車の要領で、バイクウォッシュなどを用いて汚れを浮かせて洗い流します。強力な汚れがこびりついている場合は、別のケミカルを使用して汚れを落としていきます。
お預かり時にコーティング施工をしていそうな車体について、施工の有無をお聞きしておりますが、これには理由があります!仕上げに使用するタイプのコーティングであればそのまま洗浄し、仕上げ時に簡単にかけ直すことができるのですが、年単位で効果が持続するタイプのコーティングですと、本来の機能が失われてしまったり、汚れが強力な場合に使用するケミカルによって剝がれてしまう場合がございます。

その場合に再施工にかなりの時間を要し、種類によっては当店での再施工も難しいものもございます。それを防ぐため、予めコーティングの有無をご確認しております。
これとは別に、ドライブトレイン周りはディグリーザーを使用して付着した汚れを片っ端から浮かせて、ブラシを使って落としていきます。ディグリーザーは強力なためすすぎを入念に行い、ケミカルが残らないよう細心の注意を払いながらの作業です。
ドライブトレインは分解して内部まで洗浄することで長年の使用で溜まった汚れを落とすことはもちろん、作業をしながら各パーツの状態確認を入念に行う箇所でもあります。
洗浄後はすべてのパーツをエアブロワーやダスターを使用して水分を飛ばしますが、パーツの状態チェックも同時にします。
消耗の激しい部分でありながら分解して初めて肉眼で確認できるパーツも多く、ネジなどのパーツ1つ1つまで問題がないか、そのまま組み付けて長期間の使用に耐えうるかを加味しつつ、作業を進めていきます。

③各パーツの組み立て、グリスアップ、注油
洗浄と乾燥が終了したら、洗浄時に流れてしまった潤滑油やグリスなどを各パーツに適したもので塗布、補充しつつ、分解していた各パーツを組み立て始めます。
まずはクランクアーム、リアディレイラーを元通りに組み直していきます。シマノ製品の場合、プーリーは上からガイドプーリー、テンションプーリーとあり、回転方向まで決まっています。
お次はホイールのハブです。カップアンドコーンタイプの場合、中の玉をすべて取り出して受け、球の両方をクリーニングします。玉と受け側に変形や削れがないかを観察し、問題なければグリスをたっぷりと塗布して閉じます。その後、玉当たり調整を行って終了です。玉を交換する場合、別途部品代がかかります。
もちろん振れ取りもこのタイミングで実施します。スポークテンションやセンターなども確認し、走行時に問題ない状態へ仕上げます。
シールドベアリングの場合、圧入式になっているのでベアリングを外さず、滑らかに回転するかどうかを確認します。問題がなければ表面にグリスを塗布し、キャップを閉じて終了となります。ベアリングの交換が必要な場合、別途手配で部品代のお見積もりをいたします。当店で取扱いのないメーカーで部品が取り寄せできない場合、お手数ですがオーナー様ご自身でパーツの手配をお願いすることがございます。
また、フリーボディも分解して内部の洗浄と状態確認、グリスアップを行います。
ヘッド周辺ですが、油圧式ディスクブレーキでケーブル内装式バイクの場合、ケーブル類を外さないとフォークが抜けない構造のため、ステムの固定を解いてフォークを引き抜き、ヘッド内部をクリーニングした上でグリスアップして元に戻します。
ブレーキオイル交換やワイヤー交換、タイヤ交換などがある場合は、パーツをフレームへ組みつける前のこのタイミングで実施します。
オイル交換後、ブレーキを握った状態で一晩放置すると、劣化や接続不良でオイルがにじみ出ていることもありますので、オイル漏れや動作不良がないかを経過観察します。
④フレームへの組みつけ調整
お次はフレームにドライブトレイン周り、シートポスト、ホイールなど、パーツを元通り組みつけていきます。
ワイヤー交換が入っている場合は初期の馴染み取りを行った上で変速調整やブレーキ調整を行い、Di2などの電動変速も分解後は調整が必要になることが多いので、一からセッティングしていきます。
ディスクブレーキの場合はローターに曲がりがないかを確認し、状態に応じてローターも曲げ直して調整します。ピストンの動きも左右に偏りがないか、ローターへブレーキパッドが同じタイミングで接触するか等々、確認していきます。
最後に新しいバーテープを巻き直して、空気圧のチェックと全体のトルクチェックを行い、動作チェックのための試走をさせていただき、各部に艶出しと保護用のケミカルを塗布して終了となります!
③車体のお渡しと納期、サポート
作業が終了しましたらご連絡いたしますので、ご都合に合わせてご来店をお願いいたします。
納期は店頭にパーツの在庫がある状態でしたら1週間、手配などが必要な場合は2週間ほどを見込んでおります。バックオーダーなど、更にお時間がかかる場合もございますので、パーツの手配が必要な場合は、在庫や納期をお調べして、事前にお伝えいたします。
一度消耗品などを交換しますと、使用後にワイヤーでは初期伸びと呼ばれる馴染みと呼ばれる現象が出ることで、調子が悪くなります。変速が上手くいかなかったり、ブレーキの効きがイマイチになることがございます。
その場合の調整は無償で行わせていただきますので、お気軽にお持ち込みください。
一度もオーバーホールをしたことがない、してみたい、興味があるという方はお任せいただけると嬉しいです!見た目がキレイになるのはもちろんですが、異音や動作不良など、安全に不安なく自転車を乗り続けられることは、目的に関わらず安心して楽しく自転車を使用していただく大前提だと思っています。
皆さまのご依頼お待ちしております!

































