MERIDA REACTO4000 オーバーホール
オーバーホールシリーズも増えてまいりましたが、今回はメリダよりリアクト4000の作業を承りました!
当時流行だったチェーンステー下のダイレクトマウントブレーキや、分解してみてびっくりな事もあったりと、見どころもあるブログに仕上がりました!
それでは作業を行っていきましょう!
分解
入庫時の状態を撮影しましたが、こちらの車体はとってもキレイに維持されていました。
外観からは作業が必要そうに見えないほどのコンディションですが、まずは車体を分解してパーツ一つ一つの状態を確認していきたいと思います!

バーテープは剥がす前にエンド部分をマスキングテープでマーキング。
巻いてあった位置まで新しいバーテープを巻き直します。今回はDHバーとエアロハンドルの両方に巻いていきます。
剥がした時もバーテープを固定するための両面テープもほぼキレイに取れたため、定期的な交換と保管状況が良いことが伺えます。
お次はチェーンの取り外しで、チェーンフックとクイックリンク用の工具を使用して取り外します。今回は洗浄ではなく、交換となります。
シマノ製のクイックリンクは一度きりで再利用はできませんので、オーナー様ご自身で洗車時などに脱着を繰り返す場合は、再利用可能なクイックリンクを使用しましょう。

チェーンを取り外したら、リアディレイラーの取り外しです。
エレクトリックワイヤーを外してからディレイラー本体を外し、ディレイラーハンガー固定ボルトを緩めてハンガーも取り外します。
ディレイラーはこの後分解し、プーリーなどは洗浄を行います。Di2の場合は本体の洗浄方法を機械式と変えています。
このペダルは六角レンチの8㎜で脱着が可能。トルクが高いので、ロングソケットハンドルを使用して取り外しました。

ペダルを外したら、クランクアームの取り外しに取りかかります。
上下から2本のボルトで固定されているので、こちらを緩めてからクラックキャップを取り外します。
キャップを取り外したら左アームを取り外して、右アームをフレームから引き抜いたら取り外し完了です!
チェーンリングやボルトは分解して、パーツ毎に洗浄します。
お次はブレーキを外しますが、こちらの車体はダイレクトマウントブレーキのため、固定している2ボルトを交互に少しずつ緩めて、傷つけないようゆっくりと取り外します。
チェーンステー下のブレーキはセッティングが通常のブレーキと異なりますが、取り外しは一緒です。
ブレーキワイヤーの締結を解いて、ボルトを緩めてゆっくりと取り外しました!どちらもブレーキの状態は良好そうですね。
フレームから一通りパーツを外し終えたら、ホイールからもパーツを外していきます。
クイック、バルブキャップ、スプロケットを取り外して洗浄します。前後でバルブキャップが異なっていたので、元通りに戻せるよう別に写真を撮ってあります。
ハブ周りに砂が浮いていますが、洗車ですぐに落とせそうですね!
取り外したパーツの分解に着手していきます!ブレーキはキャリパー本体からシューホルダーを外し、できる限りパーツを取り外していきます。
このキャリパーですと3枚目までキャリパーから部品を取り外して、1個1個パーツ洗浄を行います。
ブレーキキャリパーも意外と部品点数が多く、普段見えない部分もありますので状態確認も洗浄前、洗浄後と行っています。
分解したてでは特に問題もなさそうですね。
クランクアームは右クランクはチェーンリング、左アームは固定ボルトと脱落防止プレートを取り外します。
隙間に砂などが詰まりやすく、シャフトに錆などが蓄積することでアームが抜けなくなることもあるパーツなので、定期的な分解は必須です。
クランク回りも錆などはなく、特段問題はありませんでした。
リアディレイラーはDi2の場合、プーリー周りは分解して他のパーツと一緒に洗浄を行います。
ディレイラー本体は電子機器であるため、フレーム洗浄時にフレームへ取り付けたまま、弱い水圧で一緒に洗浄します。

こちらは取り外したパーツ類で、これから洗浄作業を行います。
ドライブトレインは他のパーツに比べると汚れが手ごわい傾向にありますが、今回はどうなるでしょうか…このまま次へ進んでいきます!

ヘッド分解
フレームの洗車前に、ヘッドの分解からクリーニング、グリスアップまで行っていきます!
一般的なアヘッドステムタイプなので、手順に従ってスルスル分解を行いながら状態を確認。カーボンコラム内のプレッシャーアンカーもダメージや劣化はなく、機能をしっかりと果たしていました。
ヘッドカバー内のパーツは使用に伴う汚れがありながらも、問題なさそうに見えますね。
そう思いながらヘッドベアリングを取り出してみると、表面に錆が浮いていますね。
錆が浮いているだけなら除去してしまえばいいのですが、ベアリングを回転させるとかなりゴリゴリしており、中に砂などの異物侵入やグリス切れ、球の消耗などが考えられます。
ヘッドパーツを全て取り出しましたが、これには2つ目のヘッドベアリングが写っていません。並べ忘れました…。
汚れているだけで、コンディションは悪くなさそうなのですが…。

ヘッドカバーの裏側を見てみると、錆びが浮いていることと、ダストカバーが劣化で切れている部分がありました。
そしてもう一つのヘッドベアリングも表面に錆が。こちらも表面をクリーニングした後で、内側の切れ目から内部をクリーニングしましたがゴリゴリとした感触は消えず。
ヘッドベアリングは2つ共交換判定とさせていただきました。
ヘッド周辺の作業を一時中断し、交換するベアリングを手配しました。
この車体はテーパードヘッドチューブという、上よりも下側が太くなっているタイプです。上下均等の物に比べて強度や剛性が強化されることで、たわみがなくなり力が逃げません。
錆が浮いてしまわないよう、グリスをこれでもかと塗布することでベアリングを保護します。
他のヘッドパーツも一つ一つクリーニングを行い、状態をチェックしていきます。
こちらはプレッシャーアンカーのパーツの一つですが、汚れや劣化したグリスが付着していたため取り除いてキレイになりました。
ベアリングに加えてヘッドカバーも新しいものに交換しました!
カバーの高さが低くなってしまったため、同じ高さが出せるように必要な分のスペーサーを追加。
お持ち込みいただいた時はステム→トップキャップの順番でしたが、組み直しの際にステム→5㎜スペーサー→トップキャップの順番に変更しました。
理由は下記画像のキャプションの通りですが、トレック製のバイクの場合はステム自体に5㎜スペーサー分の溝が設けられていたりするので、積む必要がないものもあります。
フレーム洗浄
ヘッドの整備が完了したら、フレームの洗浄に移ります。
まずはディレイラーハンガーをフレームに組みつけ、リアディレイラーを装着します。Di2なのでエレクトリックワイヤーと本体を接続し、準備完了です。
こちらが洗浄前のフレームですが、オーナー様のお手入れが行き届いていることもあり、汚れているところがほとんどありません。
洗車後のビフォーアフターでも、あまり変化を感じられないかもせれません(笑)

まずは水をかけて、砂ぼこりなどを流すことで極力洗車傷を防ぐのですが、こちらのフレームにはコーティングがしてありますね。
水が粒になっているのが見て取れますが、コーティングがかかっているとこういった形になります。
オーナー様が車体を大切にしていることがよくわかります。作業を施工する側としても、一層丁寧に作業をする気持ちが引き締まります。
こちらが洗車後です!
といっても、全体像だとキレイになっているのかどうかすらわかりませんので、拡大した画像で確認してみましょう。

最もわかりやすいのは、クランクアーム裏のBB付近でしょうか。普段は手の届かないところですので、どうしても砂ぼこりなどが溜まってしまうところです。
こういった部分がキレイにできるのも、オーバーホールメニューならでは。ビフォーアフターでキレイになったのがわかりますね。
フロントディレイラーも水洗いで溜まった砂ぼこりなどの汚れを洗い流します。
Di2は水をかけても大丈夫なのか、という不安もあるかもしれませんが、ポイントを押さえれば問題なくできます。
プレート内部は汚れが特に溜まりやすいところです。
こういった狭い場所向けのブラシがありますので、それらを駆使してキレイに仕上げていきます。
ヘッドの作業時には手でフレームやフォークを支えたり、グリスなどが付着したりするので汚れてしまいます。
そのため先にヘッド回りの作業を行い、それに伴う汚れも落としてしまいます。
ホイール
今回のホイールはシールドベアリングのため、一度外してしまうと再利用ができません。
ベアリングがそのまま使用可能かをチェックします。今回は回転が良好でガタがなく、問題がなかったため継続して使用します。
フリーボディについては分解が可能なので、取り外しを行ってラチェットの爪なども分解し、カセットを装着する部分に付着した砂もブラシで落とします。
取り外したフリーボディは、内部に溜まった汚れを取り除きます。
フリーボディ内部は日頃のお手入れでは触れない場所ですし、オーバーホールの機会で分解した際にクリーニングと併せて、各部の摩耗なども確認します。
ホイール側のシールドベアリングやフリーボディのマウント部分もクリーニングを行い、キレイにします。
撮り忘れてしまいましたが、この後グリスアップを行いフリーボディを元通りに装着しています。
ハブ側のメンテナンスが完了したら、フレームと同じタイミングで一度洗浄を行っています。
洗浄後に水分をブロワーで吹き飛ばしたら、リムブレーキのホイールにはワコーズのフォーミングマルチクリーナーを使用して仕上げます。
ディスクブレーキと違い、リムブレーキはブレーキ面に艶出しなどのケミカルが付着すると止まらなくなってしまいますので、注意が必要なポイントです。
クイックのレバー部分には、洗浄後に水置換(水を飛ばす効果)、潤滑と防錆(錆を防ぐ効果)のケミカルを可動部分に塗布します。
それにより洗浄で残った水分を押し出して錆を防ぎ、滑らかな動きと使用開始後の錆を防止する役割を果たします。

組み立て
フレーム、ホイールの作業がすべて完了したところで、パーツ類の組みつけに入っていきます。
まずはクランクアームにチェーンリングを取り付けしますが、今回はアウターチェーンリングに摩耗が認められたため、新しいものへと交換します!
摩耗したチェーンリングはチェーンが正常に引っかからず、トルクをかけた時に外れてしまう場合もあり、最悪落車で怪我を負ってしまうこともありますので、早めの交換がオススメです。
アウターチェーンリングを新しいものへ交換し、インナーチェーンリングもアームへ取り付けします。
チェーンリングボルトは締結が緩みやすい部分でもあり、異音の原因となる場合もありますので、規定トルクでしっかりと締めます。
その後、フレームへ取り付けを行い、こちらのボルトもトルクレンチでマニュアル通りの規定値で締め、ガタがないかまで確認して取付完了です。
今回はリアディレイラーにカーボンドライジャパンのプーリーセットを装着!
回転性能の向上と抵抗の低下が目的で、特にカスイチなどのノンストップエリアで効果を発揮するパーツです。
ディレイラーへ装着したらそのままフレームへ取り付けし、エレクトリックワイヤーを専用工具を使用して接続、動作確認で動きの確認まで行います。
チェーンはHG901(デュラエース)、オーナー様のご希望でKMCの繰り返し使用可能なミッシングリンクにて装着しました。
シマノ製のクイックリンク(呼び名が違うだけで構造は同じものです)は使い捨てで再利用ができないため、クリーニング時にチェーンを外される方にはオススメのパーツです。

ペダルも軸を外してベアリングをクリーニング、新しいグリスを塗布して規定トルクで締めます。
クランクに取り付ける時も、取り外し時の固着を防ぐためグリスを忘れずに塗布します。
ブレーキシューも新しいものへ交換です。シューは右用と左用がありますので、間違えないようカートリッジへシューを固定し、カートリッジをキャリパーへ仮止めします。
この後ホイールの取り付けとワイヤーの配線を行って、ブレーキセッティングに入ります。
こちらは既にセッティングが完了した後の写真です。
ワイヤーの初期伸びを取り、ブレーキシューの位置を適切な場所で固定し、決まったらトルクレンチで各部の固定確認を行い、カットしたワイヤーの末端にワイヤーキャップを取り付けして終了です。
可動部分には全て行いますが、潤滑用のケミカルを可動部分別に適切なケミカルを塗布します。
洗浄でオイルが全て流れ落ちている状態なので、お渡し後の異音防止や滑らかな動きを確保するために重要な作業です。
こちらはチェーン落ちが起きしてしまった時、フレームをガードするプレートなのですが、サビが浮いてしまっています。
オーナー様としても気になるところだと思いますので、こちらもキレイに落としました。
サビは進行具合や場所によって落とすのが難しい場合もありますが、表面に浮いている程度でこういった場所ですと落とせることも多いです。
ドライブトレインの取り付けとワイヤリング、ブレーキと変速の調整が完了したらバーテープを巻いていきます。
今回はDHバーもありますので、エアロハンドルの元々巻いてあった位置までバーテープを巻き、残りでDHバーへしっかりと巻きました。
テンションをかけて巻くことができないと緩んでしまいますので、巻いた後に確認も行います。
センサー類も新しい結束バンドで取り付けを行います。
当店で使用している結束バンドは、ヘラマンタイトン社のインシュロックタイと呼ばれる製品で、耐候タイプを使用しています。
耐候タイプは屋外での使用にも向いており、紫外線などの劣化を引き起こす物質対策が施されている製品になります。

仕上げには毎回登場のマックオフ、シリコンシャインで艶出しと防汚を。
見た目が段違いによくなるのはもちろんですが、意外にも効果が長いので簡易コート的な部分もあります。
せっかくならキレイな自転車を長くお乗りいただきたい、そんな気持ちで塗布しています。

今回も無事に作業終了です!
元々がとてもキレイな車体でしたが、内部や普段の洗浄が難しいところやヘッドベアリングの交換など、オーバーホールならではの分解でメンテナンスができる部分の作業を行うことができました。
新車に近い見た目とコンディションを取り戻し、これからもオーナー様と共に様々な場所へ走ってくれるでしょう。
今回も最後までご覧くださり、ありがとうございました。
オーバーホールについての詳細は下記リンクをご覧ください。
今までの作業はこちらからどうぞ!


























































































